週刊ダイヤモンド2015年1/17号[雑誌]特集1 保険激変! /商品・生損保・代理店の様変わり/生保15社・経営健全度ランキング/商品ランキング最新版/保険見直しの〝新常識〟はこれだ! /直接検査で大型保険ショップにお取り潰し危機/廃業の危機を乗り越えろ! 代理店態勢整備〝完全マニュアル〟週刊ダイヤモンド2015年1/17号[雑誌]

ダイヤモンド社 2015-01-12
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 本書を読んで解った、主な保険会社の最近の動向に関するメモ書き。

 (1)日本生命
 第一生命に保険料等収入で1位を奪われ焦っている。日生の強みは、他の生保に比べて若年層の顧客の割合が高いこと。これは、高返戻率を誇る学資保険に注力しているからである。学資保険をドアノック商品とし、ライフイベントがあるたびに様々な商品を販売する、という戦略である。ただし、日生の商品には以下のようにいくつか注意すべき点がある。

 (a)支払いが滞った際、通常はたまっている解約返戻金の範囲内で保険料を自動で支払いに充てる「自動振替貸し付け(自振り)」が行われ、また、仮に契約が失効しても一定期間内であれば、契約を「復活」できるのだが、新商品からはこの制度が消えている。

 (b)商品パンフレットには「自在に見直せます」とあるが、例えば定期保険を1000万円から3000万円に見直そうとしても、実際には別の保険に追加加入する必要があるなど、制約が多い。

 (c)総合医療保険は、入院給付金が4大生保の中で唯一「1泊2日以上」で日帰り入院での支払いがない。また、先進医療特約もない。

 (d)介護保障保険では、公的介護保険の対象者ではない主に若年層の契約者が介護が必要になった場合、「要介護4以上」が支給条件になる。他の生保が要介護2~3を支給条件にしているのに比べるとかなり厳しい。

 (2)第一生命
 日生から1位の座を奪還した第一生命は、子会社である第一フロンティア生命保険が、みずほ銀行を中心に外貨建て個人年金保険を売りまくった。日本が異次元の金融緩和で超低金利になっているため、この商品は利回りの高さで人気を呼んでいる。第一の銀行窓販での売上高は1兆円に上るが、日生は約2,200億円と第一の4分の1程度にすぎない。

 (3)AIG
 AIGはサブプライムローン問題で再編を余儀なくされた。日本では紆余曲折を経て神谷町(東京都港区)に拠点を移し、再スタートを切っている。再編の途中で多くの社員が退職したが、「元AIGというだけで引く手あまた、転職先に困ることはなかった」らしい。

 AIGの米国本社を約40年にわたって率いてきたのが、モーリス・グリーンバーグである。氏の苛烈な働きぶりは有名で「2桁成長、2桁利益を出せ!」と言う号令が組織全体に染み渡っていた。そういう厳しい企業で鍛えられた社員だから、転職市場でも高く評価されたのではないだろうか?

 (4)アフラック
 1月1日付の役員人事で新社長に昇格したのは、専務執行役員の山内祐司氏だと発表された。この発表をめぐっては、社員の間でも疑問の声が上がったという。前社長の外池徹社長はみずほ銀行出身で、その外池氏がみずほから呼び寄せた古谷昌彦副社長が次期社長と目されていたからである。

 ところが、アフラック内ではみずほ出身者の評判がよくない。頭脳は明晰だが代理店には一向に顔を出さない外池氏に加え、牧歌的な社風に合わない締めすぎた人事制度を振りかざして社員の離反を招いた人事担当の石井理常務執行役員などが中枢にいたからである。

 山内氏は2005年以降の保険金不払い問題の責任者であり、かつ、第一分野(死亡保障)と第三分野(医療やがん保険など)のシステム統合失敗の責任があるのではないか?と見られている。その山内氏が社長に就任したのは、アメリカ本社から「みずほではダメだ」とくぎを刺された結果なのかもしれない。

 (5)東京海上日動
 三井住友海上グループホールディングスとあいおい損害保険、ニッセイ同和損害保険による経営統合(MS&ADホールディングス)により連結売上高トップの座を明け渡した東京海上日動。その後、トップに返り咲いたが、今度は損保ジャパンと日本興亜損害保険の合併(SOMPOホールディングス)により、単体の売上高トップの地位から陥落してしまった。東京海上日動は、三たびトップになることを目指して躍起になっている。

 昨年12月、大手ゼネコン傘下の保険代理店に衝撃が走った事件があった。首都高速道路の保全などインフラ整備事業に関わる保険の発注において、発注者側である首都高グループ保険代理店・首都高保険サポートが、ゼネコン工事に関わる保険を自ら手配するという方針を固めたからだ。

 本来、工事中に起きた事故の保険は、請負契約上の受注者であるゼネコン側に責任があるため、その責務に基づきゼネコンが手配する。そのため、ゼネコン各社は傘下に保険代理店を抱えており、工事を請け負うごとに損害保険会社に保険を手配するのが常となっている。

 それを、発注者側の首都高保険サポートが保険を手配して巨額の販売手数料が同社に落ちるようにし、かつ損保会社も高い保険料収入を得る―この複雑なスキームを考えたのが、実は東京海上日動ではないか?と見られている。