こぼれ落ちたピース

谷藤友彦(中小企業診断士・コンサルタント)のブログ別館。1,500字程度の読書記録の集まり。

グローバル化

みずほ銀行国際戦略情報部『グローバル化進む日本企業のダイナミズム』―ASEAN主要7か国+インドのポイント


グローバル化進む日本企業のダイナミズムグローバル化進む日本企業のダイナミズム
みずほ銀行国際戦略情報部

きんざい 2016-11-04

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 本書は中国、東アジア、ASEAN、南西アジア、オセアニア、米州、欧州、中東、アフリカのポテンシャルとリスクについて俯瞰できる1冊である。その中で、私が特に関心を寄せているASEANとインドについて、本書のポイントをまとめておく。

 <ベトナム>
 ①統計上、近年ベトナムに進出する日系企業の件数は増加傾向にあるものの、投資金額はそれほど伸びていない。これは、レンタル工場へ進出する中堅中小企業が増えているためである。また、ベトナム企業が運営する工業団地であっても、日系の代理店が進出をサポートするなど、製造業での進出が容易になっている点も理由として挙げられる。
 ②チャイナプラスワン戦略の候補として北ベトナムが選ばれることが多い。これは、中国・華南地域のサプライチェーンを活用できるためである。ただ、逆に言えば、華南から部品を調達することができるため、北ベトナムにおける現地調達率は低い水準にとどまっている。
 ③北ベトナムは東西経済回廊を通じてバンコクと陸路でつながっており、所要日数も2~3日にすぎない。ただし、タイからベトナムへの貨物は多数あるが、ベトナムからタイへの貨物が少なく、片道の輸送コスト分をもう一方に転嫁せざるを得ない。そのため、輸送コストは海路を利用した場合の倍近くになる。なお、海路の場合、タイのレムチャバン港と北ベトナムのハイフォン港を結ぶにはインドシナ半島を経由する必要があるため、10日以上かかる。
 ④二人っ子政策などによる少子化や晩婚化の影響を受け、日本を上回るペースで少子高齢化の時代が訪れると予想される。2015年には、早くも人口構成の変化が人口オーナス期に突入している。
 ⑤ベトナム南部の気質として、「貯蓄をするよりも給料はその月のうちに使い切る」というものがある。また、見えを張る気質もあり、日本と同水準の家電製品がよく売れている。笑い話として、ベトナムでは来客に見せびらかすために、冷蔵庫を玄関に置いているという話もある。

 <カンボジア>
 ①舗装されているのは国道のみであり、民家から国道へ出るためには未舗装の道路を通らなければならないため、わずか数キロを通勤するのに1時間から1時間半を要するケースもある。
 ②カンボジアの教育水準は低い。ワーカーとして雇用する労働者には小学校の途中退学者が多く、文字が読めない、計算ができないといった状況に加え、トイレの使い方が解らない者などが多くいるのも現実である。
 ③プノンペンとホーチミンは南部経済回廊で結ばれているが、プノンペンからホーチミンは、メコン川を利用した水上輸送の方が3分の1程度のコストで済む。

 <ラオス>
 ①ラオスにはビエンチャンとサワンナケートに工業団地があるが、2015年7月、南部のパクセーある工業団地が日系中小企業専用の経済特区として指定された。ラオスは労働力人口が少ないため、大企業が1社でも進出すると周辺の労働力が大企業に吸い上げられてしまう。中小企業が人材の流出を食い止めようと賃金を大手の水準に引き上げれば、労働コスト面のメリットがなくなってしまう。こうしたリスクを回避するための策である。
 ②ラオスに工場が設立されれば、タイに出稼ぎに出ているラオス人が戻ってくるとラオス政府や工業団地は主張する。しかし、そもそもタイに出稼ぎに出ているラオス人は高給を求めてタイに行っているわけだから、賃金水準の低いラオス国内に出稼ぎ先を変える必要性は薄い、という見方も存在する。
 ③ラオスに工場を設立すれば、言語・文化的に近いタイからマネジャーを連れてくることができると言われることも多い。しかし、ラオスの工業団地に隣接しているタイの都市は地方都市であり、有名大学が多くホワイトカラーを輩出できるバンコクからは遠く離れているのが実情である。

 <タイ>
 ①2013年以降、製造業の新規進出には一服感がある。これは、インラック政権が2012年に実施した「ファーストカー減税」(初めて自動車を購入する人に最大10万バーツの物品税還付を行うという施策)により、需要が先食いされたためである。一方で、2013年以降は、タイの国内市場をターゲットとした各種消費財や食品の販売、外食チェーン、IT関連、不動産開発といった物販、サービス関連の日本企業の進出が多くなっている。
 ②タイに進出する飲食店は、タイ市場を「甘く見すぎている」。バンコク市内の日本食レストランを数件視察し、タイ人客で繁盛する様子と、それほどレベルが高くないように見えるサービスや料理を目にして、「これなら自社の方がよいサービスと料理を提供できる」と思ってしまう。タイ人は新しいもの好きなので、視察時にその飲食店がたまたま繁盛していただけかもしれない。タイに進出する際には、日本で出店するのと同様に、入念な調査と準備を行う必要がある。
 ③現地事情を知り尽くしたタイ企業は、日本の主要プレイヤーを分析した上で、タイでヒットする可能性が高いと認めた日本レストランを戦略的に「一本釣り」している。タイ側からアプローチを受けたことがない企業は、タイ進出を決める前に、タイ企業からどう思われているのか(そもそも知られているのか)、ビジネスモデルに問題がないか、改めて考えてみる必要がある。

 <ミャンマー>
 ①ミャンマーは現在もアメリカの制裁対象国である。ミャンマーの財閥などと提携を検討する際には、「SDN(Specially Designated Nationals and Blocked Persons List)リスト」の対象者となっていないかを確認する必要がある。
 ②バンコクから東西経済回廊を利用してメソート、ミャワディ、ヤンゴンへと至る陸路を走破するには、約4日(約960㎞)で十分である。海路の場合、マレー半島を迂回する必要があり、約21日かかる。ミャンマーはインド、中東へ進出するための重要な国である。ただ、ヤンゴン港は河川港で水深が浅く、大型船の乗り入れができないという難点を抱えている。
 ③そこで日本は、タイが開発を進めていたダウェーSEZへの参画を決め、ダウェー港の開発に注力している。ダウェーは深海港の開発が可能である。ダウェー港が完成すれば、マラッカ海峡を通らずにインド洋に進出できる。なお、バンコクとダウェーは、南部経済回廊で結ばれている。
 ④中国は、チャオピューを輸出入拠点とすべく港湾開発を進めている。2013年秋には、マンダレーを通り、ミャンマー国境のムセ~中国国境の瑞麗、雲南省の昆明を通過し、広西チワン族自治区の貴港市までに至る全長約2,800kmのガスパイプラインが完成した。また、原油パイプラインも並走している。中国にとっても、マレー半島を大きく迂回し、マラッカ海峡を通る海上輸送ルートはリードタイム面で課題となっており、パイプラインによって物流レベルが数段改善される。
 ⑤笑い話だが、文房具も輸入に頼っており、同じ店で同じ種類のものが手に入るとは限らない。書棚のファイルを種類・色で分類するのも一苦労である。

 <フィリピン>
 ①フィリピンの労働力人口は2075~80年まで増加すると予想されている。一方、ベトナム、インドネシアの労働力人口は、2030~35年がピークである。
 ②フィリピンは、他のASEAN諸国に比べて、基本給の上昇率が低く、またストライキの発生件数も少ないので、労働環境は非常に安定している。
 ③BPO(Business Process Outsourcing)で経済が発展したが、反面製造業が弱く、裾野産業が育っていない。そのため、現地調達率が28.4%(2014年)と著しく低い。現地調達率を上げるには、現在部品を輸入している中国の珠江デルタから、いかにしてサプライヤーにフィリピンへ進出してもらうかがカギとなる。

 <インドネシア>
 インドネシアの主要経済拠点は以下の5つである。
 ①ジャカルタ=インドネシア経済はジャカルタ一極集中である。インドネシアに進出した日系企業は2014年半ば時点で1,700社と言われるが、その9割がジャカルタおよび近郊に立地している。
 ②スラバヤ=ジャカルタから東1,000kmに位置する人口第2の都市である。日系企業は100社ほど進出しているが、近年はスラバヤに第2工場を開設する製造業が増えている。インドネシア西部商圏向けはジャカルタ工場で生産し、インドネシア東部商圏向けはスラバヤ工場で生産するケースが見られる。
 ③スラマン=ジャワ島中部沿岸に位置する、中ジャワ州の州都。最低賃金はジャカルタより3~4割程度低く、工場用地も半額近い。日系企業は30社弱が進出している。近年、インドネシア全体の賃金上昇を受け、地場縫製メーカーがジャカルタからスラマンに移転するケースが多い。
 ④バタム島・ビンタン島=シンガポールから20km、フェリーで約1時間の島である。1970年代より保税加工区に指定され、政策的にシンガポールより多数の工場が移転された。日系企業も、労働集約型の電子部品メーカーなどを中心に、ピーク時には100社近くが進出していた。だが、最低賃金がジャカルタ並みであり、近年の賃金上昇を受けて、ベトナムへ生産機能を移管するケースが見られる。現在の日系企業数は50社弱である。
 ⑤バンドン=ジャカルタの東200㎞の高原地帯に位置する。バンドン工科大学、インドネシア教育大学などがあり、学園都市としても有名である。地場の大手縫製メーカーや大手食品メーカーが立地している。日系企業の進出は、自動車部品、縫製、ガラス加工など数十社にとどまる。

 <インド>
 ①タミルナドゥ州とその州都チェンナイは、日本企業からの投資が多く、日系企業の進出数が最も多い地域である。チェンナイは「インドのデトロイト」と呼ばれる。日系企業の中には、チェンナイにグローバル部品調達拠点を作る完成車メーカーやサプライヤーがある。インド南部の問題は、JETROが州政府と覚書を締結した日系専用工業団地がなく、工業団地が不足していることである。
 ②グジャラート州(州都:アーメダバード)は天然資源が多く、石油化学系の企業が集積している。また、インドの中では電力、水の供給面で進んでいる。スズキの鈴木修氏は、「グジャラート州は電気が余っている。工場立地としてはナンバーワン」と語っている。企業誘致にも積極的であり、モディ首相が州首相を務めていた当時、タタモーターズの誘致に成功している。今後、日系の自動車関連企業の参入が増加すると見込まれている。
 ③国産主義を貫いてきたインドでは、エネルギー、鉄鋼、化学など基幹産業の集積が進んでいる他、自動車や機械産業の裾野産業が発達している。よって、日本企業がインド市場に参入する場合、日本企業にとっての競合先が地場企業となるケースが多く、価格面で厳しい競争を強いられる。
 ④モディ首相が率いるインド人民党のマニフェストには、「総合小売業種の外資参入禁止、中小小売業者の保護」が明文化されており、小売業については今後のさらなる規制緩和は期待できない。
 ⑤インドには29州、7連邦直轄地があり、それぞれの州・直轄地が税制を導入し、州をまたいだ流通には中央販売税(CST:州またぎ税)が課せられるなど、税制・流通の煩雑さが参入障壁の1つとなっている。そこで、まずは特定の州をターゲットとし、小さく事業を始めるのが現実的であると思われる。

ピープルフォーカスコンサルティング『グローバル組織開発ハンドブック』―共通価値観とダイバーシティの関係


グローバル組織開発ハンドブックグローバル組織開発ハンドブック
ピープルフォーカスコンサルティング

東洋経済新報社 2016-11-18

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 本書は、グローバル企業の組織開発の視点として、①チーム、②ダイバーシティ、③バリューズ、④チェンジ、⑤リーダーシップ、という5つの視点を提供している。しかしながら、②ダイバーシティと③バリューズは一見すると矛盾する。というのも、一方では企業として全社員が共有すべき価値観(バリューズ)を明らかにすべきだと言いながら、他方では多様な価値観を持った社員を迎え入れなければならないと主張しているからだ。

 企業が固定的な一部の市場セグメントのみを相手にビジネスをしているのであれば、共有価値観のみで十分である。その顧客に対してどのような価値を提供するのか、その価値を提供するために、我が社の社員はどのような行動規範に従うべきなのかを明らかにしていく。その行動規範こそが、共有価値観である。別の言い方をすると、日常業務においてありとあらゆる意思決定をする際のよりどころとなるルールである。共有価値観は業務プロセスや組織のデザイン、そして、業務プロセスや組織に対して経営資源を投入するIT、人事制度、購買制度、予算制度などに反映される。そのルールの量は大小合わせると膨大になるだろう。それをマニュアルに落とし込めば、無印良品のMUJIGRAMのようになる。

 しかし、企業は持続的に成長するために、ターゲット顧客を拡張していかなければならない。また、従来から的を絞っているセグメントの質がいつまでも不変であるとは限らない。そうした市場の変化を先取りするために、従来の社員とは異なる考え方を持つ社員を採用し、社員構成を多様化していく。社会学者のニクラス・ルーマンは、組織が外部の複雑性に対応する方法は、組織自体を複雑化することであると述べた。これがダイバーシティ・マネジメントの目的である。

 ここにおいて企業は、前述の共有価値観のうち、企業として絶対に譲れないものと、環境変化に応じて柔軟な解釈をすべきものを峻別する必要性に迫られる。そして、後者に関しては、従来からの社員と、新しい価値観を持った社員との間で、建設的な対立を促す。これが第1の学習である。新しい顧客にとって最善の価値を提供するために、我々はどのように行動すべきかと問う。このコンフリクトをいかにマネジメントできるかが、ダイバーシティ・マネジメントの成功のカギである。これからの社員には、違いを認める寛容さ、自分とは異なる相手を包容する対話力、違いから新たな意味を導く創造力が求められる。

 新たに生まれた価値観は、古い価値観を上書きする。無印良品が強いのは、堅牢なマニュアルを作ったからではなく、日々の現場の発見に基づいて、あの膨大なマニュアルを、全体の整合性を保ちながら更新し続けているからである。

 もっとダイバーシティ・マネジメントが進んだ企業では、第2の学習が生じる。すなわち、企業として絶対に譲れないものとされてきた価値観に対して挑戦する。企業が深刻な業績不振に陥った時、企業を取り巻く外部環境が著しく変化した時には、これまで多くの社員を引きつけてきた共有価値観ですら無力となる。その場合に、多様な考え方を持った社員が知恵を出し合って(「知恵を出し合って」と書くときれいに聞こえるが、実際には非難、中傷、下品な言葉などが入り混じった暴力的なコミュニケーションになる)、新しい現実に適合した新しい共有価値観を打ち立てなければならない。従来、こうした変革はトップの強いリーダーシップに委ねられていた。しかし、今後は、ダイバーシティ・マネジメントがこの課題をどのように克服していくべきかが問われるであろう。

岩井紀子、上田光明『データで見る東アジアの文化と価値観―東アジア社会調査による日韓中台の比較〈2〉』―中国の特異な傾向


データで見る東アジアの文化と価値観―東アジア社会調査による日韓中台の比較〈2〉データで見る東アジアの文化と価値観―東アジア社会調査による日韓中台の比較〈2〉
岩井 紀子

ナカニシヤ出版 2012-02

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 日本・中国・韓国・台湾の価値観の違いを調査した報告書である。本書からは、中国の特異な傾向が見て取れる。まず、中国はグローバル化には賛成である。自国の経済にとっても、自国の雇用にとってもプラスの影響があると見ている。ただし、グローバル化によって自国に外国製品が入ってくることには否定的であり、外国製品に規制をかけるべきだと考える。

 グローバル化によって、外国の労働者が増えることに対して、中国は他の3か国・地域に比べれば肯定的である。ところが、いざ実際に外国人が自分の職場に入ってくるとなると、途端に否定的になる。中国人は、日本人、韓国人、台湾人の同僚に対して強い拒絶感を示している。特に、日本人の同僚に対する拒絶感は非常に強い。これは歴史問題をめぐる両国の対立からも致し方ないだろう。中国人は、日台韓の同僚を拒絶しているのかと思いきや、東アジア、ヨーロッパ、北アメリカの同僚に対しても強い拒絶感を示す。つまり、中国人は中国以外のどの国の同僚であっても嫌なのである。ここに、中国の矛盾を見て取ることができる。

 中国は、他の国々と対立しても国益を追求すべきと考える傾向が強い(この点に関しては、実は台湾も同じくらい強い)。このことは、近年の南シナ海などにおける中国の行動と合致する。中国はあくまでも自国中心主義の国である。その証拠に、東アジアに対する愛着は、日台韓に比べるとはるかに低い。

 先行研究によると、中国人は多数派規範に従う国民性であり、家父長制が根強く残っているとされる。この点は本書でも確認することができた。すなわち、中国人は自分の意見が周りと違っていても集団の意見を優先する傾向があり、上司やリーダーの意見には従うべきだと考えている。

 これらのことを総合すると、次のように言えるのではないだろうか?まず、グローバル化が進み、中国も経済大国になったが、中国が東アジアの盟主になろうという意識は希薄である。中国が目指すのは、世界の中心としての中国である。この世界では、中国で生産された製品・サービスが世界中に大量に輸出される。中国人だけでは生産が追いつかないので、外国から労働者を受け入れる。しかし、決して自社の同僚にはしない。中国企業の子会社に外国人を集めて、彼らを徹底的にこき使う。酷使されるのは、新興国から出稼ぎに来ている人に限らず、日台韓や欧米などの先進国の人であっても同じである。

 一方、中国企業の内部では、伝統的な多数派規範や家父長制が今も残る。中国企業は階層型の組織形態を採用する。そして、中国人社員は、トップが決めたこと、組織の多数派が決めたことに対しては、自分の意見を押し殺して従う。上からの命令には絶対に逆らわない。この家父長制の特徴が、子会社管理にも反映される。親会社の中で上からの命令に忠実に従う中国人は、今度は子会社の外国人を自分の命令に絶対に従わせようとする。親会社の中で自分の意見を押し殺している度合いが強いほど、反動的に子会社に対する命令の暴力性は増す。

 現在、多くの中国人が中東やアフリカに進出して、現地のインフラ整備事業などに従事している。ところが、日本や欧米のやり方と違って、中国は現地に企業を作っても現地人を採用せず、本国から中国人を送り込んでしまうため、現地の雇用が生まれないと批判されている。この話は、ある意味中国人の世界で完結している話であるから、まだかわいい方なのかもしれない。今後、中国企業が世界中の企業を”爆買い”し、特に先進国の企業を子会社化した場合、中国人の意識やマネジメントのやり方が軋轢を生むリスクは大きいと思う。

三橋貴明『いよいよ、韓国経済が崩壊するこれだけの理由』


いよいよ、韓国経済が崩壊するこれだけの理由 (WAC BOOK)いよいよ、韓国経済が崩壊するこれだけの理由 (WAC BOOK)
三橋 貴明

ワック 2013-01-09

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 おそらく、日本で最も有名な中小企業診断士は、本書の著者である三橋貴明氏であろう。ただし、彼が有名なのは中小企業診断士としてではなく、経済評論家、もしくは作家としてであるが・・・。
 (韓国の)寡占状態は、1997年のアジア通貨危機とその後のIMFの介入が契機となっています。当時の構造が韓国の運命を決定づけたとも言えます。それまでの韓国には多くの財閥企業が存在し、傘下にある企業が過当競争を繰り広げていました。(中略)しかしIMFは、過当競争によって各企業の利益が圧迫されていることこそが問題だとして「ビッグディール(企業の大規模事業交換)」を強制的に行なったのです。
 韓国を支える輸出企業はことごとく外国人株主が半数を占めているのです。サムスン電子は49パーセント、現代自動車、ポスコなど、韓国経済の中核を担う企業のほとんどは50パーセント近くに達しています。(中略)このような状態に陥ってしまったのは、やはり通貨危機後のIMF管理によって行われた構造改革が原因です。グローバリズムに基づく資本移動の自由化が進められた結果でもあります。

 ウォンと株価が暴落し、バーゲンセールになった状態で、外国人投資家がサムスン電子などの株を買い漁ったために、外国人の資本的支配を受けることになってしまいました。そして、韓国国民の利益に何の関心も持たない外国人が株主として君臨し、配当金の最大化を目指す「株主資本主義」のための最適な経済モデルを作り上げていきました。
 旧ブログの記事「アメリカ金融帝国主義が本当なら経営学は何のためにあるのか?―『「競争力再生」アメリカ経済の正念場(DHBR2012年6月号)』」で述べたような、アメリカの金融帝国主義の仕組みに韓国もまんまと組み込まれてしまったというわけだ。IMF(≒アメリカ)に韓国を救おうという気持ちはさらさらなくて、アメリカにとって有利になるように改革を進めたというのが実情であろう。アメリカは韓国企業をいいように利用し、配当金やキャピタルゲインを搾り取れるだけ搾り取った後で、韓国企業をポイ捨てするかもしれない。

 一方で、本書にはこんなことも書かれていた。
 (韓国の教育レベルは、)全体的なレベルでは、お世辞にも優秀とは言えません。その元凶となっているのは「平準化教育」です。過熱する受験戦争を和らげる、という目的で高校の入試をなくし、志望者を抽選で各校に割り当てるようにしたものです。学校間の学力差をなくす目的ですが、その本質は、北朝鮮を礼賛する左翼政権による「愚民化政策」です。(中略)漢字を廃止してハングルのみにしたのも「愚民化」であり、一方で捏造した愛国の歴史を頭に詰め込むだけの教育です。
 共産主義は、労働者が資本家を打倒して平等な社会を実現する革命運動である。その革命思想に沿って、共産主義の下での歴史教育は、(1)自国民にとっての敵を想定し、(2)自国民はその敵によって虐げられていること、そして(3)実際には、自国民はその敵よりも優れていることを教える。韓国は(1)の結果として日本を敵視しているわけだが、(2)が行き過ぎると被害者意識が暴走して、実際にはなかった被害を「あった」と言って歴史を捏造するようになるし、(3)が行き過ぎると「劣等な日本人が優秀な韓国文化をパクった」などと主張するようになる。

 そういう教育をしていれば、やがては行き詰まることは目に見えている。共産主義は、常に何らかの敵を想定しなければならない。その敵がいなくなってしまったら、自らの存在意義がなくなってしまうからだ。よって、共産主義者は永遠に誰かに虐げられているのであり、それゆえに永遠に成熟することがない。加えて、韓国から漢字が奪われていることが韓国の衰退に拍車をかけるであろう。歴史を振り返ってみると、文字を奪われた民族は例外なく滅んでいるのである。

 韓国は、一方ではアメリカの資本主義の草刈り場になっており、もう一方では北朝鮮の共産主義の草刈り場になっている哀れな国である。1976年に南北ベトナムが、そして1989年に東西ドイツが統一され、冷戦が終結した現在では、もともと同じ国であった場所が資本主義と共産主義によって分断されているのは朝鮮半島だけである。北朝鮮は北朝鮮で、別の理由から崩壊が近づいていると言われる。南北朝鮮の統一はもはや遠い夢かもしれない。となると、このままの緊張状態で、韓国の政治や経済はどのように舵取りをしていくのだろうか?

『目標達成―結果を出す組織のPDCA(『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』2015年2月号)』


Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2015年 02月号 [雑誌]Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2015年 02月号 [雑誌]

ダイヤモンド社 2015-01-10

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 イスラエルでは、売上げ1億ドル未満から、数億~数十億ドルへとグローバル市場で規模を拡大した企業が、この40年間で75社を超える。つまり、スイート・スポットは見つかるのだ。彼らのアプローチはこうだ。多国籍企業が魅力的と感じず、地元企業が十分に対応できない、そんな機会が存在する国や地域に照準を合わせ、目立たないやり方でゆっくりと、この中間領域に浸透していく。
(ジョナサン・フリードリッヒ他「多国籍企業と地元企業が不在の『中間領域』を支配する グローバル化の秘訣はイスラエル企業に学べ」)
 DHBRが珍しく中小企業に焦点を絞った論文を掲載しており、しかも、中小企業庁が最近「今後5年間で新たに1万社の海外進出を実現する」と息巻いているグローバル化に関する論文であったから期待したのだが、私が想定してた内容とはちょっと違った。引用文に書かれた企業規模から解る通り、中小企業と言いながら、日本で言えば中堅企業に相当する企業が分析対象となっている。

 グローバル化に成功したイスラエルの企業は、1か国・地域だけでは小さな市場であるものの、類似のニーズを持つ他の国・地域も合わせればそれなりに大きな市場になるという「中間領域」を見つけることに長けているらしい。

 逆に、日本企業はこういうのが不得意である。日本企業は、複数の国・地域を横断する共通ニーズを見つける、あるいは自社の製品・サービスが複数の国・地域に通用すると思わせるようなマーケティングが上手ではない。むしろ、1か国ずつ順番に攻めて、その国のニーズに合致した製品・サービスを開発し、ある程度成功した段階で次の国に進出するという、段階的なアプローチをとる。そのため、グローバル化で急速に規模を拡大する中小企業がなかなか現れない。

 イスラエルの企業が、複数の国・地域を同時に相手にすることができるのは、企業幹部の大多数がイスラエル国防軍(IDF)の幹部を務めていたからであると著者は指摘する。IDFは、例えば1967年の6日戦争の際、南はエジプト、東はヨルダン、北はシリアと戦火を交えた。IDFは戦域全体の指揮を行わなければならず、どこに戦力を重点投下し、どんな戦術を展開すべきか、即座に判断しなければならない。こういう経験が、グローバル経営にも役立っているという。そういう経験に乏しい日本の中小企業の経営者は不利である。

 本論文では述べられていないが、イスラエルの企業がグローバル化に成功している要因は、ユダヤ人のネットワークにもある気がする。ユダヤ人は迫害によって世界中に散らばったものの、ユダヤ教という信仰の対象を通じて、心理的に強く結びついている。現代でも、世界中にいるユダヤ人が、各国・地域の市場に関する情報を経営陣と共有しているのではないだろうか?それが、ターゲット国・地域全般を見渡した戦略的な意思決定に使われていると推測される。
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プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京23区、神奈川県川崎市・横浜市を中心に活動する中小企業診断士・コンサルタント。

 専門領域は、(1)経営ビジョン・事業戦略の策定、(2)ビジョンや戦略とリンクした人材育成計画の立案・人事評価制度の構築、(3)人材育成計画に沿った教育研修プログラムの企画・開発。

 モットーは「日々改善、日々成長」、「実事求是」、「組織のためではなく知識のために働く」、「奇策は定石より先に立たず」、「一貫性(Consistency)」、「(無知の知ならぬ)無知の恥」

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

 現ブログ「free to write WHATEVER I like」からはこぼれ落ちてしまった、1,500字程度の短めの書評を中心としたブログ(※なお、本ブログはHUNTER×HUNTERとは一切関係ありません)。

◆旧ブログ◆
マネジメント・フロンティア
~終わりなき旅~
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