融資業務超入門融資業務超入門
久田 友彦

銀行研修社 2008-12

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 私は経営コンサルタントとして独立する前もコンサルティング業務に携わっており、またベンチャー企業の経営を間近でずっと見てきたので、経営のことはあらかた解ったつもりになっていた。今となっては全くお恥ずかしい話である。中小企業診断士として仕事をするにつれ、自分が知らない分野がまだまだたくさんあることを思い知らされる日々だ。特に、融資・資金調達、生産管理、海外ビジネスのどれかは経験しておくべきだったと後悔している(私が知っているコンサルタントの中で、この3つとも経験がある方が1人だけおり、私は大変尊敬している)。

 というわけで、融資業務は入門書から勉強しなければならないのが今の私のレベルである。本書には、金融機関に対する借り手の素朴な疑問に、金融機関としてどのように答えるべきか書かれた箇所があり、納得感があった。

 Q.なぜ金融機関は担保を取るのか?こちらはちゃんと返済すると言っているではないか?
 当行は、なにもその担保が欲しくてとるわけではありません。当行は御社が事業利益で返してくれる事を信用するからお金を貸すのです。そもそも信用していなかったら、貸し出しません。こちらはお金を出すわけですから、御社も事業利益で返す決意を見せていただくため担保を出してください。事業利益で返せないかもしれないと思っているなら出せないかもしれませんが、事業利益で返せる自信があれば出せるはずです。

 Q.なぜ保証人も担保も取っているのに、信用保証協会の保証をつけるのか?
 昔は、保証協会保証は悪い会社につけるものだったけど、今は審査が厳しいため、むしろ良い会社であるという証明になりますよ。ここで信用保証協会利用の実績を作っておけば、信用力が増して、将来借りるときに有利になります。中小企業の特典なんだから利用しないと損です。それに、信用保証料は借入利息といっしょで税務上損金扱いできますし、また、担保の登記手数料も4分の1で済みます。それに、信用保証料の分、貸出利息は多少勉強させていただきます。

 Q.なぜ金融機関はこんなに書類を書かせるのか?
 金融機関と取引するのは、結婚するようなものなんです。あなたも結婚するときは、やれ結納だ、披露宴だ、と大変だったでしょう。あれとおんなじです。おたがいの事を考え、成長しようとするから、きちんとやるわけです。この書類には、金融機関もしばられるんです。印鑑ひとつで貸してくれるところはありますが、そこは一夜のつきあいで、お互いの成長など考えずに、相手からとれるだけとろうとしか考えていませんよ。

 金融機関とは一度結婚すれば、あとはガラス張りのお付き合いです。まあ、最近の夫婦はそうでもないけど。