こぼれ落ちたピース

谷藤友彦(中小企業診断士・コンサルタント)のブログ別館。1,500字程度の読書記録の集まり。

韓国

牧野愛博『金正恩の核が北朝鮮を滅ぼす日』―アメリカも北朝鮮も本気で戦争をする気はないと思う


金正恩の核が北朝鮮を滅ぼす日 (講談社+α新書)金正恩の核が北朝鮮を滅ぼす日 (講談社+α新書)
牧野 愛博

講談社 2017-02-21

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 「金正恩の核が北朝鮮を滅ぼす日」というタイトルから、北朝鮮を痛烈に批判しているのかと思いきや、本書の最後は次のような文章で締めくくられている。
 かつて、幼いころの正恩が訪れたこともある日本だが、北朝鮮に関する人的情報(ヒューマン・インテリジェンス)に限っては、米韓両国に追いつけるだけの実力はまだない。正恩が倒れる日までに、その差を埋めることはおそらくできないだろう。
 なぜか日本を非難する文章で終わっているのだ。著者の牧野愛博氏が朝日新聞ソウル支局長であるから、これだけ北朝鮮が暴走しても、どこか北朝鮮に遠慮しているのかもしれない。朝鮮や中国を真正面から批判できない左派のメンタリズムを垣間見た気がした(ブログ本館の記事「『小池劇場と不甲斐なき政治家たち/北朝鮮/憲法改正へ 苦渋の決断(『正論』2017年8月号)』―小池都知事は小泉純一郎と民進党の嫡子、他」を参照)。

 北朝鮮がミサイルを連射し、核実験にまで踏み切った。一般に、北朝鮮の意図は「体制の維持」にあると報じられるが、それならば核兵器の開発というハイリスクを冒さなくても、バックの中国やロシアを頼りにしていれば十分である。核兵器の開発に踏み込んだということは、体制の維持以上の目的があると考えるのが自然である。それはつまり、北朝鮮が韓国を併合して、悲願である共産主義革命を成就させることである。北朝鮮が韓国に進撃すれば、アメリカが黙っていない。そこで、北朝鮮はアメリカを牽制するために、アメリカ本土に届くICBMの開発を急いでいる。この点を日本のメディアが報じないのが私には不思議である。

 本書では、アメリカ軍関係者の興味深い話が紹介されていた。
 「現時点での朝鮮半島を巡る軍事バランスは米韓が圧倒的に有利だ。そんな状況で、無理をして危機を招く必要はないし、米国はそんな危険な行動をけっして取らないだろう」
 通常であれば、敵の脅威が小さいうちに叩いておこうと考えるものである。ところが、アメリカはそうは考えない。むしろ、北朝鮮の軍事力が上がるのを待っているかのようである。この点については、ブログ本館の記事「『天皇陛下「譲位の御意向」に思う/憲法改正の秋、他(『正論』2016年9月号)』―日本の安保法制は穴だらけ、他」、「『北朝鮮”炎上”/日本国憲法施行70年/憲法、このままなら、どうなる?(『正論』2017年6月号)』―日本はアメリカへの過度の依存を改める時期に来ている」で書いた。

 北朝鮮の軍事力が不透明で中途半端な段階で手を出してしまうと、アメリカは北朝鮮の軍事力の分析が不十分なままに戦争に突入することになる。北朝鮮は、(半ばやけっぱちで)アメリカの同盟国である日本や韓国を攻撃するかもしれない。それよりも、アメリカが一番恐れているのは、北朝鮮に100万人いると言われる陸上軍とのゲリラ戦にずるずると巻き込まれることである。インテリジェンスを駆使して敵の作戦を事前に見抜くことに長けているアメリカは、逆に言うとインテリジェンスが通用しないゲリラ戦を苦手としている。このことは、ベトナム戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争の事例がよく示している。

 では、北朝鮮の軍事力が高度化し、アメリカが衛星やサイバー攻撃を駆使して北朝鮮の軍事力を完全に解明すれば北朝鮮を攻撃できるかというと、実はこれも怪しい。本書によると、アメリカが北朝鮮を攻撃した場合、北朝鮮が報復攻撃に出ないように同時に制圧すべき拠点が2,000ほどあるという。また、核に関連する地下施設が少なくとも5,000以上あり、これらもカバーしなければならない。いくらアメリカ軍が圧倒的な力を持っているとはいえ、これだけの数の拠点や施設を制圧するには最低でも数日はかかる。その間に、北朝鮮は間違いなく韓国や日本を攻撃するだろう。アメリカとしては、とても容認できることではない。

 だから、アメリカは北朝鮮と本気で戦争をしようとは考えていない。そして同時に、北朝鮮も本気でアメリカと戦争をしようとは思っていない。ICBMを数発開発したところで、アメリカと戦争をすれば、たとえゲリラ戦に持ち込んだとしても容易には勝てず、甚大な被害が出ることは重々承知している。

 アメリカは、北朝鮮がICBMを完成させるのを待つしかない。このままいけば、来年初頭までには北朝鮮のICBMが完成すると言われる。この段階でアメリカは、北朝鮮に対話を持ちかける。アメリカは北朝鮮に対して、ICBMの放棄を迫る。当然のことながら、北朝鮮は反対要求として、アメリカの軍事力削減を求める。具体的には在韓米軍の撤退を迫るであろう。

 北朝鮮にとっては、韓国から米軍が立ち去れば、朝鮮統一のハードルがぐっと下がる。韓国はアメリカに見捨てられる。しかし、現在の韓国の文在寅大統領は大の親北派である。また、韓国国内には、386世代(1990年代に30代(3)で、1980年代(8)に大学生で1987年の民主化宣言まで民主化学生運動に参加していた者が多い1960年代(6)生まれの人々)をはじめ親北派が増えている。朴槿恵前大統領を辞職に追いやった「ロウソク運動」にも、親北左派が多く関わっていたと言われる。アメリカとの対話後、北朝鮮はより平和的な方法で、念願の南北統一へと前進する。そして、韓国の少なからぬ人々もそれを歓迎するに違いない。

小倉和夫『日本人の朝鮮観―なぜ近くて遠い隣人なのか』


日本人の朝鮮観 ―なぜ近くて遠い隣人なのか日本人の朝鮮観 ―なぜ近くて遠い隣人なのか
小倉 和夫

日本経済新聞出版社 2016-03-26

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 《参考記事(ブログ本館)》
 『「慰安婦」戦、いまだ止まず/台湾は独立へ向かうのか/家族の「逆襲」(『正論』2016年3月号)』―朝鮮半島の4つのシナリオ、他
 『非立憲政治を終わらせるために―2016選挙の争点(『世界』2016年7月号)』―日本がロシアと同盟を結ぶという可能性、他
 千野境子『日本はASEANとどう付き合うか―米中攻防時代の新戦略』―日本はASEANの「ちゃんぽん戦略」に学ぶことができる

 日本と朝鮮半島の関係を、歴史的観点に加えて文学の視点からも分析した1冊。(わざわざマトリクスにするまでもないのだが、)「相手を尊敬するか卑下するか?」、「相手に接近するか敬遠するか?」という2軸でマトリクスを作った場合、普通は尊敬する相手には接近し、卑下する相手は敬遠するものである。

 ただし、尊敬する相手を敬遠する場合もある。個人的な話で大変恐縮なのだけれども、私は長年のMr.Childrenファンである。にもかかわらず、一度もコンサートに行ったことがない。いつもCDとDVDだけで楽しんでいる。同じミスチルファンからは、「ミスチルもあと何年音楽活動を続けるか解らないから、今のうちに観に行った方がいいよ」などと言われる。確かにそうなのだが、私にとってミスチルはあまりに存在が大きすぎるので、生で観ることをためらってしまうのだ。

 尊敬する相手を敬遠する場合とは逆に、卑下する相手に敢えて接近するというパターンもある。アメリカはこういうことをしょっちゅうやっている。アメリカが信じる自由、平等、資本主義、民主主義、基本的人権を絶対視し、これらがないがしろにされている国を名指しで批判する。そして、その国の内政に入り込んで、政治・経済システムを(アメリカにとって都合のよいように)変えてしまう。

 日本と朝鮮半島の関係、とりわけ近代のそれは非常に複雑である。明治時代にいち早く近代化に成功した日本は、朝鮮半島を遅れた国と見下していた。本書では、高浜虚子などが遅れた人々を敬遠していた様子が紹介されている。ところが、日本は、西欧から押し寄せる帝国主義の波からアジアを守るという名目で、朝鮮半島に接近し、近代化を試みた。

 朝鮮半島の人々は遅れた、野蛮な、汚らしい存在であったものの、彼らの奥底には一種の精悍さ、たくましさがあった。日本人は、一周回って朝鮮半島の人々を憧れの目で見る時もあった。日本が性急な近代化によって失った伝統的な素朴さを、朝鮮半島の人々の中に見出していた。こうして、日本人は朝鮮半島の人々に近づくのだが、反面、ロマンはロマンとして遠ざけておきたいという心理も働いた。そのため、日本人は朝鮮半島の人々と距離をとることがあった。

 要するに、日本人と朝鮮半島の人々は、先ほど述べたマトリクスの全ての象限を経験しているのである。こんなにも複雑な関係になってしまったのは、本書の分析によれば、日本人と朝鮮半島の人々が本質的に似ているからということになる。似ているから近づきたくなるし、逆に「放っておいてもよいか」という気持ちにもなる。あまりに似すぎているがために、かえってお互いの些細な違いが目につき、近親増悪のような状態を生み出す。相手を矯正してやろうと思うこともあれば、矯正を諦めて離れていくこともある。

 混迷を極める朝鮮半島が、今後どのようになるかは予測がつかない。最も望ましいのは、北朝鮮と韓国が全く新しい国家として1つに統一され、右派と左派が混合された政治・経済体制が敷かれることである。つまり、日本のような国になることである。小国が生き残るには、対立する大国の一方に過度に肩入れするのではなく、大国のいいところ取りをして「ちゃんぽん状態」を生み出すことが最善であると考える。「ちゃんぽん国家」同士が相互に連携できればなお望ましい。

 だが、どうやらこのシナリオは実現可能性が低そうだ。最も可能性があると私が見ているのは、「中国が暴走する北朝鮮を見限って、親中派が増えた韓国を使って朝鮮半島を共産主義国として統一する」というシナリオである。こうなった場合、日本は朝鮮半島に対して下手に手を出すべきではない。朝鮮半島の新国家は、小国であるにもかかわらず、大国である中国にべったりとなる。そんな危険な国家に日本から近づくと、大国間の争いに巻き込まれるリスクが高まる。だから、この場合は、「朝鮮半島の新国家を放っておく」ことが日本の最善策となる。

 では、朝鮮半島の共産主義化を防ぐべく、朝鮮半島に「ちゃんぽん国家」が建設されるように、日本を手本として日本が積極的に支援するというのはどうだろうか?私は、これも止めておいた方がよいと考える。日本は、アメリカのように高らかな理想を掲げて朝鮮半島に介入し、2度失敗している(そもそも、その理想の中身は実は空っぽだったという疑惑があるが)。1度目は豊臣秀吉の朝鮮出兵であり、2度目は韓国併合である。日本はあくまでも小国にすぎないのであり、アメリカの真似はできない。身の丈に合わないことは控えるべきである。

金惠京『柔らかな海峡―日本・韓国 和解への道』


柔らかな海峡 日本・韓国 和解への道柔らかな海峡 日本・韓国 和解への道
金 惠京

集英社インターナショナル 2015-11-26

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 本書で言及されているが、昨年安倍総理が「安倍談話」を発表するにあたって下敷きとした「20世紀を振り返り21世紀の世界秩序と日本の役割を構想するための有識者懇談会報告書」には、次のような文章がある。
 韓国政府が歴史認識問題において「ゴールポスト」を動かしてきた経緯にかんがみれば、永続する和解を成し遂げるための手段について、韓国政府も一緒になって考えてもらう必要がある。
 本書の著者の金惠京氏は日本、韓国、アメリカでの生活経験があるため、日本人と韓国人双方のものの考え方、さらに、慰安婦問題に代表されるような日韓の対立がアメリカでどのように受け止められているのかについても理解がある。日本からすると、韓国がゴールポストを動かしている=交渉のゴールを流動させている=腹の底で何を考えているのか解らない、ということになるが、韓国サイドから見れば、日本もゴールポストを動かしていると映るようだ。

 例えば、安倍総理は2014年3月14日、河野談話の見直しは考えていないと発言した。ところが、同時に菅官房長官は、河野談話作成の過程を検証する必要があると指摘している。また、安倍総理は村山談話を継承するという立場を明らかにしておきながら、他方で「侵略の定義は学界的にも国際的にも定まっていない」と述べたり、靖国神社を参拝したりする。こうした行動が、著者ら韓国人にとっては一貫性がないと感じ取られる。

 2015年7月5日、ユネスコ世界遺産委員会において、「明治日本の産業革命遺産」として23の施設が世界遺産に登録された。これらの施設において戦時中に強制徴用が行われたとの指摘が韓国からなされ、「強制労働(forced labor)」という文言を使用するか否かで日韓が激しい応酬を行った。交渉の結果、佐藤地ユネスコ大使は「働かされた(forced to work)」という表現を用いることとした。だが、日本政府はこれについて、「強制労働ではない」と弁明した。

 著者は、forced to workという表現からして、これを「強制労働ではない」と解釈するには無理があると苦言を呈している。また、日本の歴史教科書の多くが、戦時中の日本が朝鮮半島から多くの人を連行して厳しい条件の下で労働させたと記述していることとの矛盾も指摘する。日本によるこうしたゴールポストの移動は、国際社会における日本の信用を貶める恐れがあると著者は心配している。

 昨年末、日韓は慰安婦問題について最終的かつ不可逆的に解決したということで合意した。これにより、両国の関係は未来志向の新時代に突入すると安倍総理は期待している。日本が韓国を必要とする理由は何だろうか?朝鮮半島には、大雑把に言って3つのシナリオがある。すなわち、共産主義国として統一する、資本主義国として統一する、現状維持の3つである。

 日本にとって最悪なのは、朝鮮半島が共産主義国として統一されることである。巨大国家・中国をバックに、共産主義の脅威が日本の目前まで迫ることを意味する。さらに、韓国の資本力が北朝鮮の核開発につぎ込まれるようなことがあれば、朝鮮半島に非常に危険な核保有国が誕生する。ただ、中国も朝鮮半島の共産主義化に本気かどうか不明である。北朝鮮の核が中国にとって脅威であるように、朝鮮半島の新国家が必ずしも中国に従順になるとは限らないからだ。ロシアと対立した過去がある中国なら、そのことはよく解っているはずである。

 朝鮮半島が資本主義国として統一された場合はどうか?日本から見れば、共産主義の脅威が中国側に後退することになるが、実はアメリカがそれを望んでいないように思える。朝鮮半島が資本主義国となれば、アメリカは朝鮮を通じて、巨大な共産主義国である中国と正面から対峙しなければならない(逆に言えば、中国も巨大なアメリカと対峙することになり、中国にとっても望ましくない)。

 朝鮮半島が南北に分裂しているうちは、アメリカと中国の対立を、韓国対北朝鮮という枠内に抑えることができる。だから、日本、アメリカ、中国にとって望ましいのは、現状維持である。したがって、韓国との外交は、将来もこの点を念頭に置いたものになるに違いない。

 では、韓国にとって日本は必要なのだろうか?かつて、日本は政治面でも経済面でも韓国のお手本であった。ところが、課題は残るもののある程度の民主化を達成し、経済的にも1人あたりGDPが日本を上回りそうなところまで成長した韓国にとって、教師としての日本の価値は薄れている。

 前述の通り、朝鮮半島は現状維持が最善であるとすれば、韓国はこの先も北朝鮮と対峙し続ける。もしかすると、韓国が北朝鮮に対抗するためには、韓米同盟があれば十分かもしれない。韓国の執拗な歴史問題攻撃にうんざりしている日本人は、ここに来て急に慰安婦問題の解決を提案してきた韓国を見て、「やっぱり韓国は日本がいなければダメな国なのだ」と、どこか上から目線で見ている節がある。だが、日本が勝手に優越感に浸っているだけであって、韓国が日本をあっさり捨てるというシナリオも想定しておかなければならないと感じる。

池上彰『そうだったのか!朝鮮半島』


そうだったのか! 朝鮮半島 (そうだったのか! シリーズ)そうだったのか! 朝鮮半島 (そうだったのか! シリーズ)
池上 彰

ホーム社 2014-11-26

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 本書を読むと、韓国はアメリカと中国によって引き裂かれた国だと思えてくる。韓国が1997年に通貨危機に見舞われた時には、IMF主導で様々な改革を強いられた。IMFとの合意内容には、財政再建、金融機関のリストラと構造改革、通商障壁の自由化、外国資本投資の自由化、企業ガバナンスの透明化、労働市場改革などが盛り込まれた。要するに、アメリカ的な経済・金融システムへと変更するように要求されたわけである。

 その後、財閥系の大企業が次々とグローバル化に成功した。彼らの組織はトップダウン型であり、潤沢な資金をバックに全世界でマーケティングを行う。こうしたやり方は、アメリカのグローバル大企業に通じるところがある。一方で、アメリカ社会のような激しい格差も見られる。大企業と中小企業の正社員の賃金格差は拡大する一方であり、さらに正社員と非正規社員の格差は絶望的に大きい。韓国では大企業の採用枠が慢性的に不足していることから、大学を卒業しても中小企業の非正規社員にしかなれない人が非常に多い。

 経済的にはアメリカ化している韓国だが、政治的には左傾傾向が年々大きくなっているように見える。盧武鉉大統領(在2003~2008年)の支持を支えたのは、「386世代」と呼ばれる人々であった。386世代とは、1990年代に30代(3)で、1980年代(8)に大学生で学生運動に参加した、1960年代(6)生まれの人々を指している。平たく言えば、共産主義の影響を強く受けている人たちだ。

 韓国は朝鮮戦争で共産主義国の北朝鮮と戦ったはずである。しかし、北朝鮮の脱北者が韓国に流れてくると、彼らが韓国民に共産主義を吹き込むようになった。加えて、中国も韓国の共産主義化に貢献しているに違いない。こうして、韓国は経済的には右、政治的には左という、不思議な国になってしまった。

 現在の韓国は「中国傾斜論」をとっていると言われる。政治的に中国寄りだった韓国が、経済的にも中国寄りになりつつある。アメリカが主導するTPPには参加せず、中国が主導するAIIBには参加する。そんな韓国をオバマ大統領も冷たく突き放す。10月の米韓首脳会談では、声明に「TPPに対する韓国の関心を歓迎する」という文言が盛り込まれた。「TPPに対する韓国の『参加』を歓迎する」ではなく、「『関心』を歓迎する」という微妙な言い回しで、韓国を敬遠したのである。

 日米にとって最悪のシナリオは、韓国がアメリカとの同盟を破棄し、中国が(北朝鮮ではなく)韓国を使って朝鮮半島を統一することである。日本は共産主義国と正面から対峙しなければならない。しかも、統一された朝鮮国は、旧韓国の豊富な資金を使って、旧北朝鮮の核開発を大幅に前進させるだろう。そうすれば、日本にとっては非常に大きな脅威となる。

 この最悪のシナリオをもっと最悪なものにするのが、沖縄の独立である。沖縄は現在、真剣に日本からの独立を検討している。憲法は都道府県の独立を認めていないが、どうすれば独立が可能となるか、スコットランドの事例などを熱心に研究しているという。沖縄が独立すれば、かつて琉球王国がそうしたように、中国に接近するのは間違いない。沖縄の独立運動を陰で支えているのは、中国共産党であると言われる。沖縄が独立し中国と手を組めば、中国が主張する九段線がさらに日本側へ伸びる。この脅威に日本はどう対抗すればよいだろうか?

室谷克実『呆韓論』


呆韓論 (産経セレクト)呆韓論 (産経セレクト)
室谷克実

産経新聞出版 2013-12-05

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 (1)「旭日旗」とは、日章と旭光を意匠化した日本の旗である。1870年に大日本帝国陸軍の陸軍御国旗(軍旗)として初めて使用され、1889年に大日本帝国海軍の軍艦旗としても採用された。現在は、陸上自衛隊と海上自衛隊で旭日旗が使用されている。この旭日旗を、韓国は「世界にあってはならない戦犯旗」、「ナチス・ドイツのカギ十字に等しい」と宣伝している。ところが、それ以前は「古代朝鮮人が倭人に教えたデザインである」というのが韓国人の主張であった。

 (2)韓国の社会運動に「国語醇化」がある。これは韓国で日常的に使われている倭語(日本語)を、本来の韓国語に言い換えようという、反日的な民族主義運動である。日中観で共通した漢字表記だった「出口」をハングル表記で「ナガヌンゴッ」(直訳すると「出ていく所」)とさせたことは、最も目立つ成果だ。

 だが、醇化運動にはどうしても越えられない壁がある。日本人が創作した概念語だ。科学、経済、主義、資本、共産、社会、哲学など、江戸末期から明治初頭にかけて日本人が考え出した漢字熟語であり、これらの言葉は中国・韓国でもそのまま取り入れられている。とりわけ、『脱亜論』を書いた福沢諭吉がこれらの翻訳語に大きな役割を果たしているので、韓国人は悔しくてたまらないようだ。

 (3)韓国は慰安婦問題を盛んに取り上げるが、ベトナム戦争で韓国軍が残虐行為を働いたことは一切謝罪しない。また、「ライダイハン」にも触れない。ライダイハンとは、ベトナム戦争時に韓国の男性とベトナム女性との間にできた子どものことである。戦争が終わると、父親は韓国に逃亡し、子どもだけがベトナムに残された。その数は3,000~1万人とも言われる。しかも、韓国・ベトナムの国交回復後は、新ライダイハンが3,000人生まれているとされる。

 (4)ビビンバは日本人が好んで食べる料理だが、その歴史を知るとがっかりする。李王朝は、「両班(ヤンバン、貴族)―中人(チュンイン)―常民(サンミン)―奴婢(ノヒ)―白丁(ペクチョン、被差別民)」という厳格な世襲身分制度の国であった。奴婢のほとんどは両班家に所属する農奴である。彼らが、主人たちの食べ残しを雑穀飯の上に広げ、かき混ぜて食べたものがビビンバである。

 (5)韓国は強烈な差別大国である。金大中が大統領になるまでは、全羅道(チョルラド)地域(後期百済の中心地域)に対する差別がすさまじかった。これは、高麗王朝の始祖・王建が残した「訓要十条」に基づく。王建はこの中で、旧百済地域からの人材登用を戒めた。高麗、李朝を通じて、全羅道の両班はほとんど官職に就けなかった。そして、朴正煕―全斗煥―盧泰愚―金泳三と続いた慶尚道(キョンサンド、中期新羅の本拠地)出身の大統領時代に、官民・軍警ともに、慶尚道優位の資源配分が続く中で、全羅道差別は極限に達した。

 もともと異民族のように扱われていた済州島(チェジュド、新羅・百済とは全く違う建国神話を持ち、方言も強い)出身者も、同様に差別された。

 (6)韓国は風水を重視するが、朝鮮半島における風水術の祖は「倭種(邪馬台国の支配下になかった地域の倭人)」である。半島に残る最古の正史『三国史記』の中の『新羅本紀』に、新羅の4代目の王になる脱解(タレ)が風水の術を学び、「吉地」と見定めた土地を策略をもって手に入れたことが記されている。

 『新羅本紀』は脱解について、「その生国(多婆那国)は倭国の東北一千里(ここでの1里は約450メートル)にある」と書いている。多婆那国を追われた脱解が朝鮮半島に渡り、風水に基づいて獲得した土地を中心として、新羅は935年まで続いたわけだ。脱解の風水術は素晴らしかったのだろう。

 脱解は王になると、倭人を大輔(大臣)に起用する。しかし、国王とナンバー2だけが異民族という国があり得るだろうか?当時の新羅には、ある程度の比率を占める倭人・倭種が住んでいたと考えるのが自然だろう。

 (7)前述のように、李王朝の時代は厳格な世襲制身分制度の社会であった。両班の子息だけが科挙を受験でき、合格して運がよければ(実際には多額の賄賂を使えば)官職を得られた。しかし、「日帝」の内政干渉によって身分制度が崩壊した。誰でも勉強して試験に合格すれば、公務員にも一流企業の社員にもなれるようになった。だが、学歴崇拝と職業に対する病的な貴賤意識は消えなかった。そのため、上に行くほど超鋭角のピラミッド型格差社会が今でも残っている。

 ちなみに、全斗煥時代に公表された世論調査には、「日帝統治の体験者ほど反日の度合いが低い」という結果が出ていたそうだ。
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プロフィール
谷藤友彦(やとうともひこ)

谷藤友彦

 東京23区、神奈川県川崎市・横浜市を中心に活動する中小企業診断士・コンサルタント。

 専門領域は、(1)経営ビジョン・事業戦略の策定、(2)ビジョンや戦略とリンクした人材育成計画の立案・人事評価制度の構築、(3)人材育成計画に沿った教育研修プログラムの企画・開発。

 モットーは「日々改善、日々成長」、「実事求是」、「組織のためではなく知識のために働く」、「奇策は定石より先に立たず」、「一貫性(Consistency)」、「(無知の知ならぬ)無知の恥」

 好きなもの=Mr.Childrenサザンオールスターズoasis阪神タイガース水曜どうでしょう、数学(30歳を過ぎてから数学ⅢCをやり出した)。

 現ブログ「free to write WHATEVER I like」からはこぼれ落ちてしまった、1,500字程度の短めの書評を中心としたブログ(※なお、本ブログはHUNTER×HUNTERとは一切関係ありません)。

◆旧ブログ◆
マネジメント・フロンティア
~終わりなき旅~
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